カミュの「ペスト」を紹介します。
時代設定:第二次世界大戦直後
場所:アルジェリアのオランという港町
主人公:医師 リウー
重要サブキャラ:
よそ者のタウー 役人グラン 神父パヌルー 新聞記者アルベール 犯罪者コタール 判事オトン
結構サブキャラ多めです。
分量としても文庫本450ページほどあり、多少気合を入れないと挫折しそうになります。
超ざっくりストーリー:突然ペストが街を襲い、人々の行動や考えにどのように影響を与えていくかを描写している。
街は封鎖され、感染が疑われる人は個別隔離されます。
今の新型コロナ感染症の状況と酷似しています。
小説でも行政の愚策というのは出てきます。
騒ぎになったら困ると、初めに指摘した人のことは信じません。
いつの時代も変わらないようです。
不条理文学というジャンルに入るようで
人は災厄という不条理にぶつかったときにどのように行動するのか?
災厄によって、逆にウキウキする人もいる。
神の天罰だという人もいる。
自分の事だけを考えようとする人もいるし、他人の事をしっかり考える人もいる。
職務に忠実な人もいる。
様々な人が関係しあい、信念が変わらないひともいるし、信念が変わる人もいる。
「どう行動すべきか」を書くのではなく、
様々な人間模様を描き、自分ならどう行動するかな?と思いながら読むと面白い。
医師目線でみるとこの時代の感染症治療や対策が悲惨なことだ。
抗生物質もなく、感染予防策という概念がなく
今の時代からみると、そりゃ死ぬよなという状況です。
現代がいかに進歩しているか
当時の医療者がいかに苦労していたのかが逆にわかります。
医師リウーは言います
もはや治療をしているのではなく、診断し死者の数を数えているだけだ
と。
現代の不条理ってなんなんだろうって想像してしまいました。