漢方医の日記

平凡な毎日をいかに楽しく過ごすか。本の紹介を中心に、学び・健康・東洋医学・ライフスタイルなど色々。漢方大好きおじさんのブログ。

北里柴三郎 雷と呼ばれた男 上・下

山崎光夫さんの「北里柴三郎 雷と呼ばれた男」 上・下を紹介します。

 

 

山崎光夫さんは医学史にも詳しく

 

戦国時代の漢方医「曲直瀬道三」の伝記小説を書いています。

漢方黎明期の医師を題材にした小説はほかに知りません。

 

文体はとても読みやすく、もともと放送作家であったらしく

伝える力は上手だなと思います。

 

そんな山崎光夫さんが「北里柴三郎」を書いていると知り手に取りました。

 

北里柴三郎はペストを発見した医師で

初代日本医師会長をしています。

 

漢方と関係あるところだと北里東洋医学研究所が有名です。

 

そんな大先輩ですが受験の時に覚えただけであり、どんな人であったのか知りたくなりました。

 

ちょうどカミュの「ペスト」を読み

新型コロナウイルスが猛威をふるっている今だからこそ読みたいです。

 

いろいろ政府への批判は言われていますが

日本の公衆衛生は世界トップレベルです。

 

北里柴三郎は政府や国とは一線を画し、私立で多くの成果を上げ

弟子もそうそうたるものです。

志賀潔野口英世がいます。

 

また福沢諭吉との交流も描かれています。

福沢諭吉が「政府や国・官僚は手のひらを返したように政策が変わる。あてにしてはだめだ。自立しろ。」

と北里へ伝えます。

 

科学が政治家に忖度するようになったら、おしまいです。

 

明治期の医学者(科学者)の芯の強さを感じます。

 

そして優秀な政治家も多かったように思います。

 

明治期の学者や政治家が自分の利益のためではなく

国益を考えて行動してくれたからこそ

世界トップレベルの公衆衛生が達成されたのだと強くおもいます。

 

先人の遺産の上に私たちの健康があります。

 

ペストや赤痢コレラが流行すれば数十万単位でなくなっていたわけです。

 

現在はなくなることは非常にまれです。

 

次は自分が何をできるかですね。