2回目になります。
三島由紀夫は1925年生まれで20歳の時に終戦をむかえています。
「死」や「美」を題材とした作品が多いという印象があります。
以下引用
「もし、忙しい人が三島の小説の中から一編だけ、三島のよいところ悪いところすべてを凝縮したエキスのような小説を読みたいと求めたら、『憂国』の一編を読んでもらえばよい」
と語っています。
内容については一度触れているのでそちらを参考にしてください。
2回目に読んだ感想です。
三島由紀夫の美意識を凝縮した作品といえると思います。
三島の美意識とは何なのか?
私はこう解釈してみました。
美しいものを美しいまま残す事。
しかし、その残し方が独特です。
形(物質)を破壊して残すというやり方です。
言い方を変えれば、形(物質)ではないもの。
人の心とか魂とか精神性といった目に見えないものという形で美を残す事が
三島の美意識ではないかと思いました。
憂国にでてくる若い中尉とその妻。
どちらも肉体的にも精神的にも大変美しく描写されています。
その二人が心中するシーンはエグイです。
中尉は切腹し、妻は咽に包丁を突き刺します。
もちろん肉体は悲惨なことになります。
しかし、絶命する直前まで後悔することなく信念を貫きます。
慌てることもありません。
これはまるで神風特攻隊のようです。
肉体は滅びても魂は美しく残るというところに非常に価値観を置いていた作家ではないかと思いました。
1回目はただ気持ち悪かった作品でしたが、2回目はまた違う角度から読むことができました。
ただ、読後はあまり気分のよい作品ではないと思います。