漢方医の日記

平凡な毎日をいかに楽しく過ごすか。本の紹介を中心に、学び・健康・東洋医学・ライフスタイルなど色々。漢方大好きおじさんのブログ。

平成くん さようなら

78冊目は 古市憲寿さん著 「平成くん さようなら」です。

 

 

平成くん、さようなら

平成くん、さようなら

 

 

今年の芥川賞ノミネート作品のひとつです。

第160回芥川賞ノミネート作品は6作です。その中の1作という事になります。

 

古市さんはテレビにもよく出ており、

感情の入らない、論理的思考でコメントをされています。

 

どんな小説を書いたのだろうと気になりました。

 

時:平成が終わる2018-2019年にかけて

状況設定:世界に先駆けて安楽死法案が可決されている日本

場所:東京

キーパーソン:平成くん(主人公)、愛(付き合っている人)、牛来くん(平成くんの同級生)

スタイル:愛が一人称で語る

 

死をえらぶ権利が与えられた日本。

年間、安楽死を選んだ人が15万人おり

適応は広く、身体的・精神的な苦痛がなくても安楽死を選べる世界です。

 

平成くんは安楽死を行う予定であることを愛に打ち明けます。

 

病気もないし、精神疾患でもない平成くんがなぜ?

愛は戸惑います。

 

愛はなぜ平成くんが安楽死をしようとしているか答えを探します。

 

平成くんの同級生である牛来くんにヒントを求め会いに行きます。

牛来くんは哲学者です。

 

牛来くんは「人は死に過剰な意味を見出しすぎで、理由もなくあっさりと死ぬことがある」と答えます。

 

安楽死葬儀(安楽死をしてそのまま葬儀そして火葬)

テーマパーク型安楽死VRで気持ちよくなりながら安楽死

 

など 様々な形の安楽死場が出てきます。

 

人生100年時代。

過去は生きる事が難しかったのに今は死ぬことが難しい時代です。

 

現場にいると多くのご高齢者の声を聴きます。

「生きたい」と言われる方もいる一方で

「死にたい」と言われる方もある程度おり、少なくありません。

 

現在の日本社会が抱えている問題であることは確かです。

 

安楽死法案が通り、自由に死ぬ時を選べる時代がくるのでしょうか?

 

とても深い問題提起をされている小説だと思います。