お金の貯め方の本は多いですが、使い方の本は少ないですね。本書が答えではないけれど、これからお金をどう使おうか改めて考えるきっかけになりました。
お金そのものは使用価値はないわけです。何かと交換し、交換したもので初めて使用価値が出てきます。
お金のために働いていないかい?お金を経験と交換しよう。というのがシンプルなメッセージです。
本書ではお金を使うための9つのルールが書いてあります。
1.「今しかできないこと」に投資する
2.一刻も早く経験に金を使う
3.ゼロで死ぬ
4.人生最後の日を意識する
5.子供には「死ぬ前」に与える
6.年齢にあわせて「金、健康、時間」を最適化する
7.やりたいことの「賞味期限」を意識する
8.45歳~60歳に資産を取り崩し始める
9.大胆にリスクをとる
人生の目的な何なのかを強く意識させてくれます。
個人主義色・合理主義色が強くでている内容ではありますが、他人の目を気にしすぎの私にとっては良くも悪くも心を揺さぶられました。
「貯金をしなさい」、「無駄使いはやめなさい」と教育されてきた身としては素直に受け入れられない主張もあります。
だからこそいいのかもしれません。
ただ、本書を読み終わったあとモヤモヤしました。
このモヤモヤが何なのか?
読書の目的の一つは、自分と違う価値観と出会う事です。価値観が自分と違うと、本能的に拒絶反応がでます。きっと拒絶反応が出た部分が、自分の凝り固まった価値観と反対の部分なのだと思います。そこに触れて、、読後にモヤモヤしてしまった。
自分をVer.アップするためには、異なった価値観に触れるという事が重要となってきますね。
本書で印象に残った考えがいくつかあります。
時間やお金をかけて何かを経験するのは、その瞬間を楽しむためだけではない。経験は私たちに、尽きる事のない「配当」を与えてくれる。p52
確かに時間が経てば経つほど、過去の楽しい記憶は増幅されているような気がします。
何度も何度も思い出すうちに、思い出は綺麗になり現実がつらい時は過去の記憶に逃避する。思い出も福利がかかります。
単に働くことが習慣になっていただけ p70
痛い所を突いてきます。
中年になると、人は大好きな事を忘れがちだ。中略。その結果、膨大な自由時間で何をするかについて漠然としたイメージしか持てないままリタイア生活を始める。中略。そしてしばらくすると、目的もなく毎日を過ごすようになり、気がついたら再び働きたくなる。仕事があれば、明確な目的を持って毎日をすごせるし、帰属意識も満たされ、達成感も得られるからだ。目的がない日々が続くと、最悪の場合、強い不安や抑うつにつながることもある。 p238-239
心がえぐられる。
働く目的の一つに「目的を持つ」事自体があったなんて。働かないと抑うつになる可能性ありと。確かに。
年をとると人は金を使わなくなる p87
だから、お金はどんどん使われずに溜まっていくようです。今したいこと、欲しいものは10年後には変わっているという事です。欲がなくなるといえば聞こえはいいかもしれませんが、活力がなくなるとも言えます。若い時にはあんなに楽しかったのに、年をとるとそうでもないという事、たくさんあります。
親が財産を分け与えるのは、子どもが26~35歳のときが最善 p126
自分が90歳で死んで子供に財産を分け与えるとすると、子どもは60歳です。いらないんじゃないかな。子供の本音は「もっと早くくれよ」でしょう。
中年の人は・・・金でなく健康と時間を重視すること p175
中年にならないと気づきません。
人生とは動くこと p179
人間は動くようにできているのです。動くと神経細胞は新生します。
お金を使う事に罪悪感を持たないようにして、今年もいろいろな事に挑戦をしようと思います。お金の価値は年とともに低下する。今したい事は今しかできない。
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こちらは仏教的視点からのお金の使い方。
いいお金の使い方しています。羨ましい!!
村上さん、いい人だったんですね。