角幡唯介大ファンの私としては子育てエッセイを避けていました。
本屋で毎回気になりチラチラみるけど、あえて読むのを避けていました。
でも、「田舎教師ときどき都会教師」さんのブログを読んで急に読みたくなったのです。
『空白の5マイル』や『極夜行』のようなゴリゴリの冒険紀行を期待している自分がいました。
でも、角幡唯介さんの本の面白いところはその文体にあることに改めて気づかせてくれたのです。
角幡さんは文字だけで状況と心情をリアルに表現します。1つの出来事に対しての描写が詳しく、ユーモアがあり(下ネタも多い)、妄想があり。
深刻な状況も圧倒的な下ネタで乗り切る。
ペネロペちゃん(娘さん)に対する親バカっぷりを100%以上の勢いで書き倒しまくります。そこに哲学的な考察や歴史的な考察を織り交ぜ、なんかとても高尚な事をいっているのではないかと読者をファンタジーの世界へ連れて行ってくれます。
娘を「美人のゴリラ研究者にしたい」という夢を真剣に語ります。
本気なのか冗談なのか読んでいてわかりません。
真剣状況はユーモアで語り、他人が特に気にしないことを真剣に語る。
これが角幡さんだ!
親バカ子育てエッセイなのに、何度も声を出して笑ってしまいました。
この方の文章は人をひきつけます。こんな風に表現できて、後世に足跡を残せたら幸せだろうなと素直にうらやましくなります。
他の人が避けている事や特に記録するに及ばないこと、記録すると恥ずかしい事を角幡さんは「秘境」ととらえ冒険者魂で文章にします。
さっそく新刊の『狩の思考法』をポチってしまいました。