読み終えるまで大変でした。いつかは挑戦しようと思っていた文豪の作品。
こんなにも有名な本なのに読んだことがある人は少ないのではないでしょうか。
読書好きと言っているのに、名作と言われているものを読んでいない事は
ずっとシコリとして頭に残っていました。
好きな本を読めばいいではないか、と思いますがなぜか「読まないといけない」と考えてしまいます。
なぜ名作といわれているのか。
ここまで読み継がれている理由はなんなのかを「解説」ではなく「体感」として感じてみたかったのです。
がんばって読みました。
とにかく「癖が強い」。
読んだことのない文体というか、表現方法というか。
直観で感じたのはシェークスピアみたいだな。でした。
舞台を見ている感覚に近いです。セリフは長く、普通の社会だったらこんな話し方はしないだろうと思います。
表現も大げさで、「この豚野郎!」みたいなことを婦人が言います。
初めは違和感があり、読みなれた本とは違い挫折しそうになりました。
でも、読み進めていくとズブズブとはまっていくのです。
不思議な感覚でした。
とても長いので、「罪と罰」の世界に数日、数週間つかります。
すると、ふとした時に「罪と罰」の情景が浮かんでくるのです。
この長い(無駄に長いといってもいいくらいですが)ということが読者に没入感を感じさせます。
没入感を感じることで、非日常性を感じることができます。
1800年代中盤の近代ロシアへ旅することができます。
旅をして、ずっと覗き見をしているような感覚です。
どちらかというと主人公の目線になってというよりも、
俯瞰して登場人物たちの行動をみているという感じです。
独善的で、大きな善のためには殺人も正当化されると考えている主人公に共感をすることはできません。
独善的な主人公がどのように怯え、様々な人と会話をしながら自白をしようと思うようになるのか。
そのプロセスをじっくりゆっくり、深く味わう事ができます。
その独善的な考えは変わるのか、変わらないのか。
純粋な信頼や愛が、主人公の心を癒していきますが、独善的な考えは最後まで変わりません。
殺人を犯したことに後悔をしているわけではなく、世間が殺人をしたことを理解してくれないことに苦しみます。
きれいごとで片づけていないところが私は好きです。
登場人物のキャラクターが濃いです。
小説にしては濃く見えます。
ほかの小説の場合、主人公と2-3の人物がキャラが濃く、あとは主人公の引き立て役ですが、罪と罰の場合は皆主人公という感じがします。
主要な登場人物も10人くらい出てきます。
スピンオフ作品がいくらでも作れそうです。
本の読み方はそれぞれです。
楽しい作品だけを読むということもいいですが
難しい作品に挑戦するという読み方もいいなと思います。
読書レベルを上げてくれていると思います。
頑張って読んでよかったぁ。
また名作に挑戦してみたいと思います。