80冊目は川上途行さん著 「ナースコール!」です。
([か]11-1)ナースコール!: こちら蓮田市リハビリテーション病院 (ポプラ文庫)
- 作者: 川上途行
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2017/07/05
- メディア: 文庫
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現役医師が書いています。
専門はリハビリ専門医です。
時:現在
主人公:ナース2年目の南玲子、リハビリ医の小塚太一
脇役:理学療法士 朱里(あかり)、患者(脳出血後遺症で片麻痺)、患者(脊髄損傷で半身不随)
読後感:ほっこり 明るい
「自分が何のためにリハビリ病棟の看護師をしているか」という自問から始まります。
様々な職種と患者、リハビリ医の小塚太一との交流を通して、南玲子は自分なりの答えを見つけていきます。
南玲子だけではなく、小塚太一や患者もお互い影響を受けながら成長をしていきます。
リハビリ病院という、特殊な環境を舞台にしています。
日本の病院はほとんどが急性期病院です。
一般的な人が「病院」といっているのは急性期病院です。
リハビリ病院は急性期病院よりもリハビリがたくさんできます。
リハビリをする人(セラピストといいます)の数が急性期病院よりも多いからです。
急性期病院は病気の治療をするところであり、実はリハビリには向いていません。
(リハビリはもちろん行いますが、リハビリ量・質ともにリハビリ病院にはかないません)
多くの患者さんとその家族はそのことを知りません。
現在の医療界は機能分化といって、
病院それぞれが機能分担をしましょうということになっています。
患者さんは「転院」をしないといけないので、めんどくさいというデメリットはあります。
しかし、適材適所で治療を行うことが本人にとっては一番いいと思います。
リハビリ病院は時間経過がゆっくりです。
患者のリハビリをする意味はどういうことなのか?
非常に深く突き詰めて、書かれています。
重たい話ばかりではなく
恋とはこういうものではないか?という場面もあり
作者が物事を突き詰めて、考える性格なんだなと思いました。
とてもリアルな現場描写なので、知らない世界を覗きたい人にも読んでもらいたいです。