23冊目は藤川大祐さん著 NHK出版 道徳教育は「いじめ」をなくせるのかです。

道徳教育は「いじめ」をなくせるのか―教師が明日からできること
- 作者: 藤川大祐
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2018/06/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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平成30年4月より道徳が特別の教科となり、教科書ができました。
私はこのニュースを聞いた時に「自分が小学校の時に道徳の授業があったのに」と思いました。約30年くらい前です。
道徳の歴史を見ると
戦前の「修身」→敗戦→GHQより「修身」廃止→1956年特設道徳として復活 です。
特設道徳は教科ではなく、週1回の活動という位置づけです。教科書もなく成績評価もないということです。
62年という歳月をかけ、道徳は教科となりました。息子がちょうど小学校1年生です。
ときどき息子が「いじめられている」と訴えてきます。
しかし、よく話をきくと相手がいじめているとは思えないのです。一緒に遊びたくてちょっかいを出してきているように私は思うのです。
いじめとはなんなのか気になり、この本を買いました。
2013年議員立法で「いじめ対策推進法」が成立・施行されました。
そこにいじめの定義がありました。
「本人が心身の苦痛を感じていれば」それはいじめです。ですから、そんなつもりはなかったが通用しないということになります。
そこで息子に「嫌な思いをしているのか」と聞いてきました。すると「そうだ」といいます。いじめの定義では「いじめ」です。法律上は1回の行為でもいいし、一人の行為でもよいのです。
かなりおもいきった定義です。
「いじめ対策」のために道徳が始まりました。
著者は取手市いじめ問題調査委員会委員長もされており、現在のいじめ対策の問題をわかりやすく紹介しています。
そして現在の問題点と、新たな提案をしています。
ポイントは ① 外の目を入れる ② 多様性を認める ③ 理想の家族像や友人像をつくらない ④ 外部に相談できるホットラインを作る(通報アプリというのがある) ⑤ 学校行事や部活動の影響を少なくする などです。
とても実効性があると思いました。学校の先生は学習指導要領を守らないといけないので塾のように個人の意見をいうことはできないと思います。とてもつらい立場に立たされているのではないでしょうか。
学校のいじめ問題だけでなく、会社など組織の中にも応用できると思いました。
とても勉強になる本でした。