22冊目は中室牧子さんと津川友介さん著
「原因と結果」の経済学 ダイヤモンド社出版です。
非常にわかりやすいです。
経済学は統計学と言い換えてもいいかもしれません。
「因果関係」と「相関関係」を混同している事が多いという事がポイントです。
その例で「メタボ検診を受けると、寿命がのびる」という通説があります。
普通に考えると「確かにそうであろう」と思います。雰囲気です。
しかし、実際に「本当か?」ということでランダム化比較試験を行ったところ
健診を受けた人たちと健診を受けてない人たちの間で死亡率に差がありませんでした。
(メタボ検診ではなく、デンマークの事例です)
これでは一つの研究に過ぎないので、同様の研究を集めて全体の傾向を知る
メタアナリシスという方法をとってみました。
やはり、死亡率に差がありません。
今現時点では
健診を受けても死亡率に差がないというのがエビデンスです。
それでも健診は行われます。なぜでしょう。
一事が万事です。
教育・政策といった分野でも同じことが繰り返されます。
私たちがいかに耳障りの良いことを信じているかが分かります。
人間には「今ある立場を守る」という心理があります。
強烈で、行動の源にもなります。
「テレビを多くみる子は学力が低いか」とか
「偏差値が高い大学へいくと収入が増えるか」など
さまざまな分野でのエビデンスが提示されており、とても面白いです。
信じていたことに「そうじゃない」とエビデンスという武器で切られます。
人間は論理ではなく感情で動く生き物です。
論理と感情のせめぎあいを読みながら体験できます。
非常に良書だと思います。