漢方医の日記

平凡な毎日をいかに楽しく過ごすか。本の紹介を中心に、学び・健康・東洋医学・ライフスタイルなど色々。漢方大好きおじさんのブログ。

【漢方】睡眠には眠る力が必要

先日、不眠を主訴に来られた方がいました。

 

 

眠りが浅く、熟睡感がない。日中も、ぼーっとしている、と。

 

十全大補湯という漢方薬をだし、1週間後来院いただきました。

 

入室してくる時の表情は明るく「これは効いたな」と思っていると

 

「1日でよくなりました。びっくりしました」

 

私もびっくりしました。

 

漢方をやっていると、時に大当たりがでます。

こうなるだろうとこちらが想像している以上の成果がでることがあります。

その時はとても嬉しく、漢方をしていてよかったなぁと思うのです。

 

だいたい、再診の時の患者さんの表情で効いたかどうかわかります。

気を使って、効いていると言ってくれる患者さんもいますが表情をみればわかります。

 

十全大補湯は睡眠には適応がありません(適応とは、診療報酬をもらう時の病名であり適応がないから出せないということはありません)。

十全大補湯は気血両虚といわれる、気も血も弱っている人にはよく効きます。

 

不眠の原因は様々ですが、眠るためには眠る力が必要です。疲れているから眠れると言うわけではないのです。気も血も弱っていると、眠る力が足りなくなり熟睡ができなくなり夢を多く見るようになります。

睡眠中も脳は活動し、日中できなかったことをしています(記憶の取捨選択、筋肉活動の停止など)。活動するためにはやはりエネルギーが必要となります。

消化や筋肉活動を低下させ、そのエネルギーを脳で使うわけです。

 

東洋医学には陰陽という考え方がありますが眠る力は陰の力です。

これを意識できるようになって治療の幅が広がりました。

 

十全大補湯はそのエネルギー供給をしているようなイメージです。

補剤といわれるグループになります。

西洋薬のように強制的に睡眠を誘うものではありません。

 

日中に脳はインプットを行い、睡眠中に整理整頓を行っている。

日中ぼーっとしているひとは整理整頓がうまくできていないためかもしれません。

頭の中がすっきりしていないのかも。

 

ドラッグストアでも手に入ります。副作用もほぼないのでセルフメディケーションしてみてもいいかもしれません。