文明に飼い馴らされた生き方は、もうお終いだ。野生の体には癌も鬱も肥満も高血圧もない
帯がまず、挑戦的です。
神経内科医ちゅり男さんのブログで紹介されており、タイトルが面白く手に取ってみました。読み終わった後ついつい拝んでしまうほど、面白かったです。これだから読書はやめられない!
基本的な考えは、現代の病の多くは文明病であるという事です。癌・うつ・不眠・高血圧・認知症・自己免疫疾患など。社会が生み出した病という意味では自死も入るのではないかと思います。
200年前の人類の脅威は餓死・暴力・感染症でした。
それに比べ現在の脅威は運動不足・孤立・飽食・依存症・デジタル世界・暇です。
見事に変わったものです。
GO WILDに生きることが、それらを解決してくれる助けになるかもしれない。
GO WILDは何が人間にとってもっとも自然な状態であるのかという事です。
これは東洋医学の考え方に非常に一致します。
歪み(病)の原因は不自然であること。自己治癒力を最大限に発揮できるようにする事が東洋医学の根幹です。
本書の構成はまず「現代人を苦しめているもの」の説明があり、そのあと6つの具体的な処方箋が提示されています。6つの処方箋は
1.運動
2.食事
3.睡眠
4.マインドフルネス
5.バイオフィリア(自然の中に身を置くこと)
6.同族意識(仲間とともにいる事) です。
それぞれ具体的に科学的知見を踏まえて説明しています。
本書を読み終わって気づいた事があります。結局狩猟採集民の生活というのが、人間の自然(WILD)な状態なのではないかと。それを感じられるときに、太古からの遺伝子が喜ぶのではないかと。
本書で述べられている事はどれも、言われてみれば当たり前の事です。それでも、ハッと気づかされます。当たり前の事が全くできていないと。
運動をしているときは気持ちがいい。自然の中で食べる食事はおいしい。家族といる時は幸せを感じる。よく眠れると気分がいい。瞑想するとあたまのモヤモヤがとれる。
どれも説明されるまでもなく、体感できることです。しかし現代はどれも逆行するような事をしてしまっています。
本書で印象に残った場所があります。
幸せとはいつも安全で、食べ物があり、心地よく過ごせることではない。むしろ両極のあいだでバランスを取り、優雅に両極を行き来することにこそある。
両極とは変化と安定です。変化ばかりでも疲れますし、安定ばかりでも無気力になっていくということだと思います。
明日も明後日も、1年後もおんなじ生活がつづくと思うと鬱っぽくなります。自然は1日として同じ顔を見せません。
「GO WILD」は生き方そのものを変えてくれる可能性がある本だと思います。
200年前と大きく違う事は、私たちは「WILDな生活」も「non-WILDな生活」も選べるという事です。
ちなみに私の生き方を変えてくれた本達です。