エドマンド・バーク著、佐藤健志訳の『フランス革命の省察』を読んで。
1790年に書かれた古典中の古典です。
1789年にフランス革命が起きます。その1年後に書かれました。
著者はイギリス人の政治家です。
61歳のエドマンドが23歳のフランス人のデュポンあてに書いた手紙をまとめたものです。
デュポンはフランス革命を起こした国民議会のメンバーで
デュポンがエドマンドに「うちのフランス革命、どや?」って聞いて
エドマンドがぼろくそにこき下ろす、という構図です。
「全然すごくないし、国めちゃくちゃになっているし、これからもっとヤバくなるで」
ってな感じで話が進みます。
まだロビスピエール(恐怖政治)もナポレオンもまだ世に出る前で、ルイ16世はギロチンされる前です。
どうヤバくなっていくのかを、歴史を踏まえて説明していきます。
これから恐怖で支配されるで、
軍部が主導権とって、戦争するで。 てな具合に。
そして本当にそうなります。
ロベスピエールの登場とそのあとのナポレオンの登場です。
フランス革命前のフランスはたしかに問題がありましたが
「やり方が急すぎるよ」
「王様残そうよ」
「教会つぶすなよ」
「素人が政治したらダメだって」
「民主主義ってけっこうヤバいって」
と言います。
老朽化した建物を治すときに例えると分かりやすいかもしれません。
基礎と土地ごとぶっ壊してしまったようなものです。
風呂もトイレもなくなるわ、大工も素人で骨組み歪むわでめちゃくちゃになります。
みんなで決めるから、統一感なく全体はいびつになります。
やはり監督とプロの大工、しっかりとした基礎が必要です。
細かく国民議会(政権をもっている)の実行している政策を批判していきます。
さすが、老齢の政治家といった感じで地に足の着いた批判をしています。
地に足の着いたというのは、人間の心理をしっかりと理解しているという意味です。
教会も貴族も国王も地位をはく奪されました。
恨みにどう、対応するのか。
暴力・粛清・戦争と進む道ができます。
軍の扱いについても章を割いており
軍が政権をとってはいけないと再三忠告しています。
道徳・倫理・宗教で人の心が暴走しないようにしないといけないといいます。
保守というと、変化を嫌うというイメージでしたが保守の見方が変わりました。
変化はしないといけないが大事なところは残しましょう、急に変化させてはいけません
というのが主張の核でした。
フランス革命は劇的な変化でした。焼野原となって再生した感じです。
戦後日本みたいな感じです。
権力者が王・貴族・教会から金融勢力・知識人に移った歴史的な出来事でした。
現在の権力者も金融勢力と知識人です。この2つは相性がとてもいいのです。
現在の原型(資本主義、民主主義)を作ったわけです。
フランス革命の当事者はたまったものではなかったと思います。
歴史の転換点にいた人達は台風の中にいるようなものです。
自分は歴史ではフランス革命と幕末、平安末期が好きです。
なぜか戦国時代はあまり好きではありません。
権力変化がある時というのは、面白いです。
次の時代の権力者はどういった人たちなのか?
自分たちは台風の中にいるのか?
そんなことを考えながら読み終えました。