67歳の老人が裸の美女と添い寝をし、昔の女性を思い出す話です。
タイトル通り裸の美女は全く話しませんし、触られても反応しません。
ときどき寝言は言います。
年齢は14歳から20代後半までで、老人はその宿に通います。
管理人は40代の女性ですが話し方が老婆みたいです。
老人は癖になり、通う頻度が短くなってきています。
老人はまだ男性機能は残っているんだ、ほかの老人とは違うんだとしきりに自分に言い聞かせます。
しかし最後まで不能です。
そこがまた切ないです。
眠れる美女をみたり触れたりしながら昔の女性を思い出し回想が始まります。
不倫の相手であったり、自分の娘であったり、愛人であったり。
過去の栄光を回想します。
俺は昔はモテたんだと言っているのです。
ますます、可哀そう・・・。
老人の満たされない心を、老人とは真逆の美女と対比することで際立たせています。
老人は紳士的で、美女をもてあそぶようなことはしません。
静かに、昔を回想しているだけです。
普段から夜も眠れないらしく、寝酒をしていますが宿にはおいてありません。
眠剤が用意されており、必ずそれを飲んで眠ります。
性的不能、不眠症、過去の栄光の回想、暇と老年期に誰もが通ると思われる出来事をふんだんに盛り込んでいます。
川端康成は70代で自殺しています。
自分が老いていくということがつらかったのでしょうか。
10代でこの話を読んだら全く意味が分からなかったと思います。
年をとると苦いものが好きになるような、
癖のある小説も味わえるようになってきました。