95冊目は 劉渡舟先生の「中国傷寒論解説」です。
超専門書ですが東洋医学に興味がある方はのぞいてみてください。
『傷寒論(しょうかんろん)』は私たち漢方医のバイブルともいえる書物です。
なんと西暦220年頃、中国で書かれました。
約1800年前です。
日本は弥生時代
中国は三国志の時代 です。
なぜ、私たちが『傷寒論』を学ぶかというと
そこに病の本質が書かれていると考えるからです。
特に日本の漢方医はこの書物を大切にしています。
とてもシンプルに書いてあるために、いろいろな解釈ができます。
劉渡舟先生は傷寒論の大家の先生です。
傷寒論には理論がないといわれる先生もいます。
劉渡舟先生は『黄帝内経』という傷寒論よりもさらに400年ほど前の書物の理論にのっとっているという立場です。孔子や孫子の時代です。
病はどのように発生し、どのように変化し、どのように治癒(死亡)していくかを記しています。
現代中医学の基礎理論です。
『傷寒論』は実践書です。
病をどう治療していけばよいのか?
私のお師匠さん達はことごとく『傷寒論』のすばらしさを述べられます。
漢方薬を学びはじめた時はそのすごさがわかりませんでした。
現代医学を学んだ私からすると、1800年前の書物に書いてあることは時代遅れもいいところです。
しかし学べば学ぶほど、病の本質をここまで追求した本というのはないのではないかと思い、頭が下がります。
古代中国人の物事の見方というのはとても素晴らしいと思います。
孫子や孔子を輩出した国であり、その同時代に『黄帝内経』という『病の本質本』を作った人々に頭が下がります。
本書は傷寒論解説書のなかでも一級品だと思います。
何度も読む価値あります。
病を治したいという人類の知の結晶です。
基本に忠実であればあるほど、応用がきくということです。
薬剤師さんや医者向けの本です。