88冊目は 遠藤周作さんの「キリストの誕生」です。
「イエスの生涯」の続きとなります。
イエスが処刑されてから、弟子たちがどのようにキリスト教を広めていったか?
主要な弟子であった、ポーロやペトロの足跡をたどりながら物語は進みます。
ユダヤ人はエルサレムを中心に現在のパレスチナで生活をしていました。
当時、ローマ帝国の配下となっておりローマの顔色をうかがいながらでないと、宗教的活動もできなかったようです。
無力で奇跡を起こすことなくイエスはあっけなく処刑されました。
処刑された理由はユダヤ教の教義を批判したからです。
弟子たちは敏感になります。
旧約聖書にキリスト誕生を預言している箇所はないか一生懸命に探します。
しかしイエスは「愛」のみを語っています。
僕からするとユダヤ教とキリスト教はまったく違った宗教のように思います。
イエスを直接知らない弟子達が、「イエスの心」に共感しユダヤ教徒以外に布教し始めます。
その中心人物がポーロです。パレスチナからトルコを通り、紆余曲折しながらローマまで旅をします。
時の皇帝はネロ。暴君として有名です。そして諸説ありますが、ローマで処刑されたようです。
ローマはユダヤ教徒が力をつけることに危機を感じます。そして、エルサレムを攻め、エルサレムは廃墟と化します。
ユダヤ教は権力者や聖職者の宗教でした。
キリスト教は庶民の特に貧しい者の宗教でした。
圧倒的に貧しい人のほうが多い世の中です。キリスト教がそういった人の心に響き、ここまで巨大な宗教となったのだと思います。
イエスの「愛」に触れる時に、自分が今していることを顧みる事ができます。
その行為には「愛」があるのかと。
心に突き刺さる小説でした。