85冊目は藤巻健史さんの「日銀破綻」です。
参議院財政金融委員会での質疑も書いてあります。
議事録ですので、筆者の勝手な解釈は入っていません。
日銀総裁や副総裁が今の財政をどう考えているのかが、わかります。
もちろん日銀幹部は日銀破綻(一般企業でいう倒産)は起きないという認識です。
日銀破綻論は何年も前から出ていますがいまだに潰れていません。
しかし、日銀の財務諸表をみると危険信号がともっていることが分かります。
日銀の貸借対照表(バランスシート)が本書に登場します。
政府の貸借対照表も本書に載っています。
なぜ日本政府は潰れないのか?
政府は2000年も、2017年も債務超過です。
一般企業であれば、債務超過をしてお金を貸してくれる人がいなくなると倒産します。
政府の場合は、国債の買い手がいる(お金を貸してくれる人がいる)ので
倒産しません。
買い手は誰でしょう?
日銀が直接買う事は禁止されています。それをやったらおしまいです。
市場が買っているのですね。特に地銀です。
そして地銀は買った国債を日銀に売っているのです。
表面上は市場から政府は資金調達していますが、
本質は日銀がお金を出しているわけです。
それが異次元緩和です。
長期国債金利は今後も上がらない
異次元緩和で長期国債をせっせと日銀が爆買いしたおかげで国債価格はあがり金利がさがりました。
国債の短期金利と長期金利の差でもうけていた地銀はそれができなくなりました。
地銀の経営が厳しくなってきています。
銀行がらみの悪いニュースが最近増えていると思います。
長期国債の金利が低い(0.279%)ので、持っていても利益が出ません。
日銀の経常収支は1兆3000億円といわれています(ほとんどが債権収入)。
日銀の負債はどうでしょう。
地銀は日銀にお金を預けていますので、日銀は利子を地銀に払わないといけません。
金利を上げたら、一気に日銀の負債が膨らみ経常赤字となります。
ということは日本は今後ずっと低金利という事です。
お金は金利の高い方へ流れます。
地銀も国債を日銀にどんどん売っています(持っていても利益にならず、買ってくれるのが日銀くらいしかいない)。
日銀はずっと国債を買い続けるのでしょうか。
日銀が国債を買えば買うほど、国債の魅力はなくなります(低金利になるので)。
長期金利が上がり始めたら考える事
国債を日銀が買う事をやめたとたんどうなるでしょう?
魅力がなくなってしまった国債を買う人はいません。
金利上昇して困るのは誰でしょう。
政府です。国債残高は1000兆円をこえています。
これに高い金利が付いたら?
利払いで、国家予算は根こそぎ持っていかれます。
その時に国民生活を直撃します。
日銀は何か悪意をもってしているわけではないと思います。
政府の財政が悪すぎるので、いまのようにするしかないのだと思うのです。
増税ではまかなえない規模になってきています。
歳出カットは今後必ず行われるでしょう。増税も進むでしょう。
何事も準備が必要
10年後、20年後の事を考えて自分の資産はしっかり防衛しないといけません。
是非、本書を読んで日本財政の危うさを知り、財政破綻の準備をしておきましょう。
財政破綻も生きている限りリスクになります。
もし財政破綻が起きなければ、それはそれでよいわけですから。