『坊ちゃん』の時代です。
谷口ジローさんは、鳥取県鳥取市生まれの漫画家で、私と同郷です。
鳥取県の方は名を聞いたことがあるかもしれませんが
県外の方にはあまりなじみがないかもしれません。
日本よりも海外で有名な方です。
鳥取県は漫画王国をうたっており、2012年に国際まんが博が鳥取県で開かれました。
鳥取県出身の漫画家の青山剛昌さんや水木しげるさんと一緒に紹介されており
その時に初めて知りました。
一つ一つの画が美しく、とても綺麗な作品です。
夏目漱石は国費でイギリス留学をしますが、精神を病み
帰国します。
帰国後、大学と高校の教員として働きますが精神は病んだままです。
元来、気が小さく酒乱であったようです。
「もう二度とイギリスには行かない」と言っていたようです。
同時代の文豪達との交流や、漱石がどのようにして精神を回復していったかを
丁寧に書いています。
値段も当時のまま書かれています。大工の1日手間賃が1円とあります。
知識人が一家をもち、普通の生活をするには最低ひと月に60円、年に700円は必要だと書いてあります。
現在の価値でいえは1円は5000円くらいでしょうか。
イギリスから帰国しても小説家として生計を立てれるわけではなく
教師の給料をもらっています。
交流する人々のキャラクターからヒントを得て、「坊ちゃん」の構想を練っていきます。
小説を書くことで、精神が安定していきます
ライティングセラピーですね。
精神を安定させるために小説を書いていたのかはわかりませんが、
小心者であった漱石にとって小説を書く事は自己表現を達成する一つの手段であったのではないかと思います。
小泉八雲や山形有朋、島崎藤村や富徳蘆花など同時代の文豪や政治家、知識人も豊富に登場しとても読み応えがある作品です。
画がとても細かいので、明治後期の日本の情景を味わうことができます。