82冊目は 堀啓子さん著 「日本ミステリー小説史」です。
日本ミステリー小説史 - 黒岩涙香から松本清張へ (中公新書)
- 作者: 堀啓子
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2014/09/24
- メディア: 新書
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本を解説した本になります。
ミステリー小説は現在では当たり前に読まれているジャンルです。
しかし、ミステリー小説が日本に定着するまでには先人達の努力がありました。
ミステリー小説が日本に定着するまでの軌跡を江戸時代まで遡り解説しています。
ミステリー小説の始まりは、欧米のミステリー小説の邦訳から始まりました。
明治維新後です。
著作権などという考えがなかった時代です。
新聞というものが庶民に読まれるようになってきた時代で、
連載という形で、ミステリー小説が書かれるようになっていきます。
新聞社としては、売り上げを上げないといけないわけで、読者受けする内容でないといけません。
自然と、奇抜であったり奇をてらったものになったりと既存の勢力(純文学的)に
煙たがられます。
また、初めに事件がおきて時間をさかのぼって、「実は・・・」というスタイルは明治初期の日本人にはなじみがありませんでした。
物語は、時系列で書くものであるという固定概念があったようです。
そのため、欧米の小説を翻訳したものも、時系列でかかれ最後に事件(殺人)が起きます。
誰が犯人なんだろう?というワクワクはなく、犯人が事件を起こす過程を時系列でかいてしまったりしていたようです。
もちろん読んでいる人にはなにがおもしろいか分かりません(初めから犯人がわかっているので)。
今では考えられないような事がミステリー小説黎明期には起きていたようです。
小説に限りませんが、物事が定着していく過程にはある程度決まった法則があります。
ホップ・ステップ・ジャンプですが、
まずは、熱い思いをもった人が初めての事をします。
欧米のミステリー小説が好きで好きでたまらなく、それを翻訳して日本人に教えようとした人です(ホップにあたる)。
それが黒岩涙香(男)です。
ミステリーブームが来ますが、それに乗ろうと質の悪い小説も増えます。
「悪貨が良貨を駆逐する」ように明治26年の時にミステリー小説のピークを迎えます。
いったんミステリー小説は衰退期に入ります。
中興の祖(ステップ)に挙げられるのが谷崎潤一郎です。
ここまでくると、聞いたことがある作家が出てきます。
そしてミステリー小説が市民権を得る(ジャンプ)ようになったのは江戸川乱歩のおかげです。
市民権を得てからは、小説の一大ジャンルとなりました。
今では「金田一少年の事件簿」や「名探偵コナン」など漫画の分野でも後世にのこる主人公が生まれています。
小説の歴史をしり、ますます本が好きになりました。