漢方医の日記

平凡な毎日をいかに楽しく過ごすか。本の紹介を中心に、学び・健康・東洋医学・ライフスタイルなど色々。漢方大好きおじさんのブログ。

すべての見えない光

75冊目はアンソニー・ドーア著 藤井光訳の

「すべての見えない光」です。

 

すべての見えない光 (新潮クレスト・ブックス)

すべての見えない光 (新潮クレスト・ブックス)

 

 

2015年ピュリッツァー賞を受賞しています。

知り合いの方から おすすめ本 で薦められて読みました。

 

小説を読むのは苦手な方です。

登場人物が複数になると、頭が混乱します。

 

自己啓発やノンフィクション、ビジネス系であれば1-2日で読めますが

小説となると1週間はかかります。

 

特に海外小説は一番苦手です。

時には苦手な分野の読書をすることで新しい発見があるかと思い

我慢しながら読んでみました。

 

時代設定は1944年の第2次世界大戦中です。

舞台はフランスのサン・マロという城塞都市です。

フランスの北西部の海辺に面した町で実在します。

 

ナチスドイツがフランスに侵攻し、徐々にフランスは領土を取られます。

 

主人公は2人います。

ドイツ側がヴェルナーという男性(17歳)で

フランス側がマリー・ロールという女性(16歳)です。

 

1934年という少年少女時代(ヴェルナー7歳、マリー・ロール6歳)から話が始まります。

 

ヴェルナーは孤児院(父が炭鉱で死亡)で生活をしています。

ある日、壊れたラジオを手に入れ、修理してラジオを聴けるようにします。

機械そのものへの興味が他の子どもとは違い、才能を開花させていきます。

 

マリー・ロールは父親とパリに住んでおり、6歳で失明します。

点字でヴェルヌの「海底2万里」を読んだり、

父が務める博物館の貝に強い興味を持つ学者肌の少女です。

 

2人の穏やかな日々は戦争により徐々に崩れていきます。

 

ヴェルナーは徴兵され、マリー・ロールはサン・マロへ疎開します。

 

2人をつなぐツールがラジオです。

ラジオがこの物語で大きな役割を演じています。

 

この時代のソーシャルメディアです。

誰かが聞いてくれていることを想像して放送を行い

どこのだれが流しているかをを想像しながらラジオを聴く 

 

たった70年前話です。

フランスとドイツは戦争をしていました。

人々には自由はなく、お互い人権というものはありません。

好きなことができない時代です。

お互いを信じることができず、疑い、自分に危害を加えない人物は誰なのかを常に意識をしないといけない時代です。

 

きれいごとでは生きていけない時代

 

2人の少年少女の生きざまをじっくり味わうことができました。

歴史の勉強にもなり、

舞台となったサン・マロの事を調べたり

ヴェルナーが生まれた炭鉱の町ツォルフェアアインが世界遺産であること知ったり。

 

小説からいろいろ派生して、物語を楽しみました。

 

不思議なことに、無理をして読んだ本というのはずっと記憶に残ります。

時間をかけて読んだ本はずっと記憶に残ります。

 

どっぷりと「すべての見えない光」に費やした1週間でした。

こういった、本の読み方もいいものです。

 

フランスのサン・マロ

ドイツのツォルフェアアイン

 

世界一周が私の夢の一つでもあります。

是非、行ってみたいと思います。