53冊目は長尾和宏さんの 「男の孤独死」です。
長尾先生は在宅医です。
往診は昔からありましたが、在宅医療という分野は比較的最近できました。
在宅医療は自宅(居宅)で検査や診察、治療を行う医療です。
現在1年間に亡くなられる人の数は130万人ほどです。
我が鳥取県は年間7300人(1日20人)ほどがなくなっており、年々増えています。
しかし病院・診療所で亡くなる割合は全国最低の70.6%で、
鳥取の人は全国で一番自宅や老人ホームで亡くなっています。
在宅医療を受けている人は、自宅で亡くなられても医師が診察し死亡診断書を発行されます。
在宅医療を受けていない人が、自宅でなくなると警察沙汰になります。
たとえ犯人が「餅」でもご家族は事情聴取をされます。
家には警察が来て現場検証が行われます。
在宅医療を受けている場合とそうでない場合、
死後の対応にはこのような違いがあります。
男は孤独死をしやすいようです。
それも50-60代が最も多いようです。
離婚や退職して、孤立してしまいます。
あとはアルコールの問題があります。
男は孤立しやすく、寂しさを紛らわすためにアルコールに依存し抜け出せなくなるというパターンです。
私の病院にも近年そのパターンで入院する人が数年前よりも明らかに増えています。
60代が多い気がします。
運ばれてくるパターンは近所の人が見つけたというのが多いです。
まだコミュニティーが生きています。
これがご近所付き合いが全くない都会だとほとんどは死後数日たってからの発見ではないでしょうか。
長尾先生お勧めの孤独死予防の処方箋として「スナックへ行こう」とあります。
介護保険サービスでスナックへ行けるようにしたら、面白いかもしれません。
社会的役割を終えたら、だらだらと長生きしたくないという男も多いでしょう。
私はそれはそれで素晴らしい生き方だと思います。
男はプライドが高い生き物です。
他人に生かされているというだけで、自尊心は傷つけられ
「死んだほうがましだ」と思うのかもしれません。
孤独死に善悪はないと思います。