63歳で定年し、残りの人生をいかにして生きるか悩み、行動します。
主人公は東大法学部をでてメガバンクに勤めて、最後は子会社に飛ばされて専務として終了します。
退職後、直ぐにただの人になります。
社会的な役割を終え、趣味もなく、時間が有り余る。
プライドが高く一般的なジジババコミュニティには溶け込めません。
色々なものに手を出します。
女性にも。
ずっと一人称なので、感情移入しやすいです。
そしてきっと多くの世の定年男子諸君の代表的な心情を代弁しています。
63歳といえばひと昔前の50歳位の体力気力があります。
なのに、社会から強制引退させられます。
読んでいて辛いです。
自分もこうなるのではないかと。
妻は益々元気になり、美容院を起業します。
夫は家で愚痴ばかり。
主人公はもがき苦しみますが様々な行動を起こし、新たな人脈を作っていきます。
本当の意味での仕事の楽しさに気づきます。
故郷の暖かさに気づきます。
学歴・出世で人生中盤はそれぞれ違っても、定年したところでスタートラインが一緒になります。
高学歴はプライドが邪魔してむしろ不幸になるかもしれません。
自分をどうプロデュースしていくかを30代の今から考えないといけないと思いました。
社会に必要とされないという事がどれほど心身に悪影響を与える事か。
つくづく人間って社会的な生き物なのだと思いました。
社会に必要とされなくなる事は死んだも同然です。
社会的寿命がなるべく早く尽きぬようにしたいと思います。