2014年に単行本として出版されています。
主人公は一男という30歳後半の男です。
大学を卒業をして15年後の設定なので37歳くらいと思われます。
弟が借金をし、失踪したことで一男が肩代わりする事になります。
妻と娘一人の家庭は次第に「お金」がない事で歪んでいきます。
バレエを習いたいという娘。
生活費を切り詰めてまで、高い授業料を払えないという一男。
娘の「やりたい」を応援したい妻、万佐子。
意見が食い違い、別居となります。
一男は昼は図書館司書で夜はパン工場で働き、パン工場の寮で生活します。
「お金」をためて、借金を返し、娘のバレエ代を払い、また3人で過ごすことを夢見ます。
そんな中、3億円の宝くじが当たるという設定です。
一男はかつての大学の友人、九十九に3億円をもって会いに行きます。
九十九は大学の時「お金と幸せの答えを見つける」といいモロッコに旅に出ました。
一男が九十九に会いに行った目的は「お金と幸せの答え」を聞くことです。
九十九は大富豪になっていました。
九十九と乱痴気パーティーを行い、翌日に九十九は3億をもって一男の前から姿を消します。
九十九を探すために九十九のかつての同僚たち3人を訪ねます。
皆、「お金持ち」です。
「お金」との付き合い方は皆それぞれです。
「お金」に対する価値観も皆違います。
最後に九十九にたどり着きます。
「なぜ、3億をもって姿を消したのか」、その理由を教えてくれます。
印象に残ったのは、3億を得たあとの妻、万佐子とのやり取りでした。
これで3人また一緒に暮らせると思っていたのに、離婚を突き付けられます。
一男がかわいそうでした。
結果的には愛情を「お金」で取り戻そうとしてしまいます。
大人の女性は2人出てきますが、かわいくは書かれていません。
理解不能なポジションにいます。
男は4人登場しますが、こちらは理解可能な事をしています。
「お金」を語るときはどうしても男目線になるのではないかと思いました。
男のほうが「お金」に執着をしている気がします。