9冊目は高橋大輔さんの「ロビンソン・クルーソーを探して」です。
ロビンソン・クルーソーのモデルとなったスコットランドの船乗り、アレクサンダー・セルカークの人生を追いかけます。
時代はピューリタン革命後の1700年ころのスコットランド。ステュアート朝。清教徒らしく正しく真面目に働く事が正しいとされていた文化的背景があります。
セルカークはそんな中、「真面目」な社会に反発します。やんちゃだった友人たちは家庭を持ち子供が生まれ普通になり社会に適応していきます。なんか、1970年代の学生運動の構図を思い出します。
私掠船=イギリス黙認の海賊船に乗り、他国の海賊船を襲う日々を送ります。故国に帰ると奪った宝物により報奨金が支払われます。記録には職人の年収の20倍が支払われたとあり海賊は成金になる近道だったのです。現代で言えば、ITベンチャー社長といったところでしょうか。
セルカークは船長といざこざを起こし、ロビンソンクルーソー島(ファン・フェルナンデス島 1574年発見)に取り残されます。事実は漂流ではなく、置き去りでした。
4年4か月を経て、故国イギリスの私掠船により助けられます。
高橋さんはその後のセルカークの人生についても追って行きます。生き生きとしていたたった一人での無人島生活では生き生きとしていたのに、助けられたあとは廃人のようになってしまったセルカーク。普通に生きることはできなかったのでしょう。
子供向けの冒険記として有名な「ロビンソン・クルーソー」をより深く理解できました。時代背景や文化的背景を知ることで、物語がより立体的に読めるのだということを教えてくれる一冊です。