4冊目は高野秀行さんと清水克行さんの対談で「世界の辺境とハードボイルド室町時代」です。
清水克行さんは日本中世史が専門の歴史学者で、高野秀行さんはノンフィクション作家(辺境作家)です。
表紙絵は中世の人がバイクに乗って、ロケットランチャーのようなものを持っており笑えます。
清水さんは特に室町・戦国時代の民衆の研究をされており、高野さんは辺境民族のルポをされています。室町・戦国時代の人は誰一人現代には生きていないわけで、どういう思考をしていたかは古文書で読み解くしかありません。しかし人間には時代・民族・宗教が違っても普遍性がある部分があるのではないかという発想から、対談が実現したようです。
現代日本人の考えと室町・戦国人の考えは相当違うと思います。しかし、カオス状態の国(ソマリランドなど)の人の行動はもしかしたら、室町・戦国時代というカオスの時代の人の行動と重ね合わせることができるかのしれないというのが本書の趣旨です。
テーマはたくさんあります。中でも、戦国時代の同性愛を考える章は面白かったです。
飛鳥時代の中国文明襲来をファーストインパクト、戦国時代の西洋文明襲来をセカンドインパクトと表現されているところは10年歳が違いますがエヴァンゲリオン世代感を感じます。黒船襲来がサードインパクトといったところでしょうか。
室町・戦国時代の人から現代人を見たらどう思うのかなと妄想してしまいました。
「自分と関係ない国の人のことにも心を痛め、何もできない自分に無力感を感じるなんて、大変だな」なんて思われているかも。